ペットを飼う動機にはいろいろあるが、その一つとして多いのが「寂しいから」である。子供がいない中高年だけでなく、最近は孤独を感じている若者の間でもペットの需要は伸びている。
ペットとしてポピュラーなのは犬と猫であるが、では寂しさを埋めるのにはどちらが適しているのだろうか。
かねてより心理学における多くの研究で、他者との交際がない場合でもペットを飼うことで、孤独と孤独から発生する悪感情をかわすことができると示唆されていた。
ただし、それらの研究はいずれも大規模なサンプル数には基づいていなかった。また、もし孤独に関して効果があったとしても、犬と猫が同等に効果を発揮するかどうかも分かっていなかった。
これらの疑問に答える研究結果がハンブルグ・エッペンドルフ大学医療センターから発表された。この研究に使用されたデータは1996年から収集された当時40歳以上のドイツ地方在住者のもので、その中から現在65歳以上になった単身者1160人を対象にしている。
この研究の参加者には「私は社会に帰属していないように感じる」または「自分が社会から疎外されている」などといった”孤独感”、”社会的な疎外感”に関するさまざまな設問に答えてもらった。
次に、彼らを"何も飼っていない"、"犬を飼っている"、"猫を飼っている"とペットの所有状況に応じて3つのグループに分け、回帰分析を通じてデータを調べた。
その結果、猫を飼っているグループと何も飼っていないグループは同程度に社会的な疎外感を覚えていたことが分かった。つまり、疎外感を埋めるのに猫は貢献していないということである。
反対に犬は疎外感の改善に大きく役立っているということも発見された。さらに分析すると、男性より女性の方がその効果がはるかに大きかった。
孤独感についても"何も飼っていない"グループと”猫を飼っている”グループに目立った違いが見られなかった。また、こちらでも犬は女性の孤独感を著しく改善させたが、男性については多少の改善にとどまった。これはおそらく男性の孤独に関してはすでに公的なケアが浸透していて犬に頼る必要がないからだと考えられる。
研究結果をまとめると、孤独感や疎外感を和らげたい場合、猫より犬を飼うべきであるということになる。まあ、考えてみれば当然だろう。私の周りにも犬を飼っている人はたくさんいるが高齢者、若年者問わず孤独な人は見当たらない。
犬は散歩が必要だから自然と外出するようになるし、人から離れないという性質上、さまざまな芸を仕込むことができるから、それに関連したイベントなどにも出られるようになる。犬は孤独を癒すどころか、むしろコミュニケーションツールといってもいいように思う。
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