”ハッカー”というか”クラッカー”なのだが、言いやすいせいかすっかりハッカー=ネットの泥棒みたいな意味になってしまった。ハッカーの起源はソ連崩壊で職を失ったエンジニア達である。
この番組は2016年にバングラディッシュ中央銀行で起きた、ハッキングによる不正送金事件のドキュメンタリーである。
被害総額は8100万ドルに上った。その8100万ドルはカジノを通じてマネーロンダリングされ、6700万ドルがいまだに未回収だという。
当時のトップだったアティウル・ラーマン元総裁はこの責任を取って辞任したが、当時を振り返ってこのように言っている。
「中央銀行は非常に高い評価を受けている機関だ、そこに好き勝手にドロを塗らせるわけにはいかない(中略)わたしが身を引くことで中央銀行の名誉を守ろうとしたんです」
この言はおかしい。この人のせいでもう十分に泥を塗られているし、辞めたところで全く名誉は守られていない。
この言の筋で行くなら、彼が総裁を続投してハッカーを追いかけ、金を全額取り返すまで指揮をとるべきであろう。
彼には被害者意識が垣間見える。おそらくITをよく知らない古い世代の人間なので、ハッキング被害というものがものすごく理不尽なものに思えているからだと思われる。
客観的に見て、普通に彼の責任は大きい。
上層部の人間たちがITについてよくわかっていないという点で言えば、日本にも当てはまる。日本のサイバーセキュリティー担当大臣・桜田義孝大臣はパソコンに触らないしUSBが何かも知らない。セブンペイは仕様に欠陥があり、ハッキングされて記者会見で謝罪していた。
どちらもよくわかっていないからセキュリティについて勉強したり、金を払ったりするのを厭うようになる。
セキュリティは未来の損を潰そうという話で生産性がなく(儲からない)、後回しにされるからだ。そうして大損害を被りようやく対策をとるようになる。
痛い目を見ないと変わらないので、今後もうしばらくこのような事件が起こるだろう。そうして最終的にどの業界もITリテラシーに長けた人物でなければトップに立てないようになると思われる。
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