縮退ついて【長沼伸一郎・現代経済学の直観的方法・世界史の構造的理解】

2022年11月6日日曜日

歴史

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長沼伸一郎氏の書籍を読んで長期的願望・短期的願望・知的制海権・縮退といった非常に興味深い概念を多数得た。今回はその中でも特に注目させられた縮退について自分の知見を書いていきたい。

縮退というのは元々生態学にある概念で”生態系の劣化”を指す。三重県のある沼でアメリカザリガニの侵入から8年程で23種いた水生昆虫がわずか1種にまで激減したというデータがあるが、このように希少性の高い状態から低い状態へ移行する事をいうらしい。

氏は更に物理学の理論・エントロピーの法則により、あるものが縮退するとその過程でエネルギーが発生すると説く。例えば火力発電は石炭や石油を燃やし尽くし、価値の無い状態にする事で発電量を得る。水力発電もダムで水を溜めて高い所から低い所へ落とす工程で発電量を得ている。引力で勝手にものが下に落ちていく以上、上にあるものの方が下にあるものより物理エネルギー的に価値が高い。風力発電も自然な風の流れをブレードで阻害し回転エネルギーから発電量を得ている。

この概念を社会生活に当てはめたときエネルギーは金銭的価値として応用でき、氏曰く資本主義は長期的願望(社会的な理想)を短期的願望(個人の欲望)へと縮退させそこから富を絞り出しているのだという。

確かに資本主義が浸透していく過程で、それに内包される個人主義により保育や介護、お見合いなどといった旧来親族内の助け合いで行われていた事柄が外注サービスでなされるようになったり、テレビやエアコンのような家電が"家庭に一台"から"一人一台"のように余計に必要となっていった。その結果経済規模だけは成長したが、代償として人と人との付き合いは金と法律によるシステマティックなものへと縮退した。

この"縮退する過程で価値が生じる"という現象は負の社会現象でも確認することが出来る。例えば詐欺などは信用関係を縮退させ、ギャンブル産業は人を中毒にして生活そのものを縮退させて富に変換している。そして軍需産業は極め付け、「生→死」という生物における究極の縮退を撒き散らし莫大な富を引き出している。

そして社会における縮退の行き着く先は”コラプサー化”だと言う。コラプサー(崩壊した星)、つまり社会として劣化し尽くしてそこから元に戻ろうとする力すら完全に失われて固着してしまった状態、具体的には人間の大半が快楽カプセルとでも呼べるような容器の中に入って麻薬の供給を受け、死ぬまでに夢の中で生きるような世界である。

私も似たような結末を予想している。知識社会は極まり続けすでに大半の人間は経済的合理性を失い、遺伝的多様性を担保する存在でしか無くなった。このまま行けば彼らは一部人権の返上とプライバシー情報の提供を条件にベーシックインカムと合法CBD・アンフェタミンを享受しながらメタバースの中で遊んで暮らし続け、最後はグローバルエリートたちに裏切られて巨大災害を意図的に放置するなどの形で大量処分される事だろう。

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